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フリーランスエンジニアの節税対策5選!活用できる経費や控除を解説

フリーランスエンジニアとして仕事するうえで切り離せないのが「納税」です。経費や控除を正しく理解し計上することで、節税対策が可能です。

そこでこの記事では、フリーランスエンジニアの節税について、以下の順に解説します。

1. フリーランスエンジニアの節税対策5選
2. フリーランスエンジニアが節税する際の注意点

節税対策について正しく理解し、安心して独立しましょう。

フリーランスエンジニアの税金の基礎知識

フリーランスエンジニアとして独立する際は、会社員時代とは異なる税制について理解しておくことが重要です。ここでは、フリーランスエンジニアが納めるべき税金の種類と、所得の計算方法について詳しく解説します。

納めるべき税金の種類

フリーランスエンジニアが納める必要がある税金は、主に以下の4種類です。

所得税

所得税は、1年間の所得に対して課税される国税です。フリーランスエンジニアの場合、事業所得として計算されます。

  • 税率:累進課税制度(5%〜45%)

  • 納付時期:翌年3月15日までの確定申告

  • 計算方法:(売上 - 経費 - 各種控除)× 税率

住民税

住民税は、前年の所得に基づいて計算される地方税です。都道府県民税と市区町村民税の合計で構成されます。

  • 税率:一律10%(都道府県民税4% + 市区町村民税6%)

  • 納付時期:6月、8月、10月、翌年1月の年4回

  • 計算方法:前年の課税所得 × 10% + 均等割額

個人事業税

個人事業税は、事業を営む個人に課される都道府県税です。フリーランスエンジニアは「第1種事業(その他の事業)」に該当します。


  • 税率:5%

  • 課税対象:事業所得が年間290万円を超える場合

  • 納付時期:8月、11月の年2回

  • 計算方法:(事業所得 - 290万円)× 5%

消費税

消費税は、年間売上(課税売上高)が1,000万円を超えた場合に課税義務が発生します。

  • 税率:10%(軽減税率対象外)

  • 課税義務:前々年の課税売上高が1,000万円超の場合

  • 納付時期:翌年3月31日まで

  • 計算方法:売上に含まれる消費税 - 仕入れに含まれる消費税

その他の税金・保険料

税金以外にも、以下の社会保険料の支払いが必要です。

  • 国民健康保険料:前年所得に基づき計算(市区町村により異なる)

  • 国民年金保険料:月額16,980円(2024年度)

  • 介護保険料:40歳以上が対象(国民健康保険料と合算)

所得の計算式と節税の基本原則

フリーランスエンジニアの税金を正しく理解し、効果的な節税を行うために、所得の計算方法を把握しておきましょう。

所得税の計算式

所得税の計算は、以下の手順で行われます。
①事業所得 = 売上 - 必要経費
②課税所得 = 事業所得 - 各種所得控除
③所得税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除

各項目の詳細説明

売上(収入金額)

  • クライアントから受け取った報酬の合計

  • 源泉徴収税額を差し引かれる前の金額

  • 消費税込みの金額(消費税課税事業者の場合は税抜き)


必要経費

  • 事業を営むために直接必要な費用

  • パソコン、ソフトウェア、書籍代、通信費、交通費など

  • 家事按分が可能な費用(家賃、光熱費など)


各種所得控除

  • 基礎控除:48万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)

  • 青色申告特別控除:最大65万円

  • 社会保険料控除:国民健康保険料、国民年金保険料など

  • 生命保険料控除:最大12万円

  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo、小規模企業共済の掛金

節税の基本原則

効果的な節税を行うためには、以下の3つの原則を理解することが重要です。
1. 経費の最大化

  • 事業に関連する支出は適切に経費計上する

  • 家事按分を活用して自宅関連費用を経費化する

  • 領収書やレシートを確実に保管・管理する


2. 所得控除の活用

  • 青色申告特別控除で最大65万円の控除を受ける

  • iDeCoや小規模企業共済で所得控除を増やす

  • ふるさと納税で寄付金控除を活用する


3. 所得の分散・繰延

  • 青色申告の赤字繰越制度を活用する

  • 設備投資のタイミングを調整して所得を平準化する

  • 法人化のタイミングを検討する(所得が一定額を超えた場合)


これらの基礎知識を踏まえて、この後紹介する具体的な節税対策を実践することで、効果的な税務管理が可能になります。

フリーランスエンジニアの節税対策5選

フリーランスエンジニアができる節税対策5選は以下のとおりです。

1. 青色申告をする
2. 経費を計上する
3. iDecoに加入する
4. 小規模企業共済に加入する
5. ふるさと納税を行う

それぞれ詳しく解説します。

1. 青色申告をする

フリーランスの確定申告は、青色申告と白色申告の2種類ありますが、青色申告を選ぶことで最大65万円の特別控除を受けられます。

青色申告するには、複式簿記による帳簿付けや、電子帳簿保存もしくはe-Taxによる電子申告が必要です。また、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

手間はかかる反面、高い節税効果を得られるため、確定申告の際は青色申告を選びましょう。

青色申告のその他のメリット

青色申告には特別控除以外にも、以下のような節税メリットがあります。

  • 赤字の3年間繰越:事業で赤字が出た場合、翌年以降3年間にわたって黒字所得と相殺できます

  • 青色事業専従者給与:配偶者や親族に支払った給与を必要経費として計上できます

  • 少額減価償却資産の特例:30万円未満の資産を一括で経費計上できます(年間300万円まで)

※参照元:国税庁|青色申告特別控除

2. 経費を計上する

フリーランスエンジニアの仕事で必要なものを「経費」として計上することで、節税につながります。

経費に計上できる費用は、具体的に以下のようなものがあります。

経費に計上できる具体例

経費に計上できる費用は、具体的に以下のようなものがあります。


  • 交通費:クライアント訪問や打ち合わせの電車代、タクシー代

  • 接待交際費:クライアントや協力会社との会食費、お中元・お歳暮代

  • 広告宣伝費:名刺印刷代、ホームページ制作費、Web広告費

  • 新聞図書費:技術書籍、専門雑誌、オンライン学習サービス費

  • 事務用品費:パソコン、キーボード、マウス、文房具

  • 通信費:インターネット代、携帯電話代、サーバー利用料

  • 雑費:振込手数料、各種手数料

家事按分の具体的な計算方法

フリーランスエンジニアのなかには、自宅を仕事場にしている人もいるでしょう。その場合、仕事として使用している部分を経費として計上(家事按分)できます。
たとえば、床面積50㎡で家賃10万円のマンションに住んでおり、事務所として10㎡利用している場合、経費として計上できる家賃は以下のように求められます。
按分率:10㎡÷50㎡×100=20%
経費として計上できる家賃:10万円×20%=2万円
家賃以外にも、以下の費用を利用日数や利用時間で按分することで、経費として計上できます。

  • 水道光熱費:電気代、ガス代、水道代

  • 通信費:固定電話代、インターネット代

  • 自動車に関する費用:ガソリン代、車検費用、自動車税、駐車場代

経費にならないもの

一方で、以下のような支出は経費として認められません。

  • プライベートな食事代や娯楽費

  • 家族との旅行費用

  • 健康診断や人間ドック費用

  • 生命保険料(所得控除の対象)

  • 住民税や所得税などの税金

  • 事業と関係のない書籍や雑誌


事業に関わる支出は、忘れずに経費として計上しておきましょう。

3. iDecoに加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後の資金づくりを目的に自分で決めた額を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る年金制度です。
iDeCoは公的年金に上乗せされ、老後のさらなる備えにつながります。

節税効果

iDeCoで積み立てた掛金は全額所得控除になるため、節税になります。さらに、運用して得た利益も非課税です。
フリーランスの場合、掛金は月額6.8万円(年間81.6万円)が限度額です。年収500万円の場合、年間約16万円の節税効果が期待できます。

注意点

iDeCoは税制優遇措置がある反面、60歳まで途中解約できず、資金を引き出せないデメリットがあります。運用によっては、資産が元本割れするリスクもあるため、無理のない範囲で運用しましょう。

手続き方法

iDeCoへの加入は、金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)で申込書を提出するか、インターネットで手続きできます。
※参照元:厚生労働省|iDecoの概要

4. 小規模企業共済に加入する

小規模企業共済とは、中小企業の経営者やフリーランスなどが廃業もしくは退職した場合に備えて、資金を積み立てておく共済制度です。

節税効果

積み立てた掛金は全額所得控除できるため、節税につながります。月額1,000円から7万円まで500円単位で設定でき、年間最大84万円の所得控除が受けられます。
フリーランスに退職金制度はないため、小規模企業共済がその役割を担っているといえます。

注意点

20年未満で解約した場合、掛金総額を下回る可能性があります。また、共済金の受取時は退職所得または雑所得として課税対象となります。

手続き方法

中小企業基盤整備機構の窓口となる金融機関や商工会議所で申込書を提出して加入できます。
※参照元:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|小規模企業共済

5. ふるさと納税を行う

フリーランスエンジニアも、会社員と同様にふるさと納税を行うことで節税対策ができます。
ふるさと納税とは、応援したい自治体を選び、寄付できる制度です。

節税効果

控除限度額内であれば、寄付金額が2,000円を超える範囲が所得税と住民税から全額控除され、さらに返礼品がもらえます。
控除限度額は、収入や家族構成によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

注意点

フリーランスの場合、会社員のようなワンストップ特例制度は利用できず、確定申告での手続きが必要です。また、控除限度額を超えた分は純粋な寄付となり、節税効果はありません。

手続き方法

ふるさと納税サイトや自治体のホームページから寄付を申し込み、確定申告時に寄付金控除として申請します。
※参照元:総務省|よくわかる!ふるさと納税

経費にできるもの・できないもの

フリーランスエンジニアにとって、経費の適切な計上は節税の要です。どのような支出が経費として認められ、どのような支出が経費にならないのかを正しく理解することで、適切な税務処理と最大限の節税効果を得ることができます。

経費にできるもの

フリーランスエンジニアにとって、経費の適切な計上は節税の要です。どのような支出が経費として認められ、どのような支出が経費にならないのかを正しく理解することで、適切な税務処理と最大限の節税効果を得ることができます。

家賃・地代

自宅を事業所として使用している場合、事業に使用している部分の家賃を経費として計上できます。

  • 賃貸物件の家賃:月額家賃 × 事業使用割合

  • 持ち家の減価償却費:建物の取得価額を法定耐用年数で割った金額 × 事業使用割合

  • 管理費・共益費:マンションの管理費、共益費も按分可能

  • 火災保険料:建物・家財の火災保険料も按分対象

水道光熱費

事業で使用する電気、ガス、水道の料金を按分して経費計上できます。

  • 電気代:パソコンやモニター、照明などの電力使用分

  • ガス代:給湯や暖房で事業に関連する部分

  • 水道代:事業活動に必要な水の使用分

通信費

インターネットや電話などの通信にかかる費用です。

  • インターネット接続料:プロバイダー料金、回線使用料

  • 携帯電話・スマートフォン代:基本料金、通話料、データ通信料

  • 固定電話代:基本料金、通話料

  • サーバー・ドメイン費用:ホームページ運営に必要な費用

  • クラウドサービス利用料:AWS、Google Cloud、Dropboxなど

消耗品費

事業で使用する備品や消耗品の購入費用です。

  • 文房具:ペン、ノート、コピー用紙、ファイルなど

  • パソコン関連機器:マウス、キーボード、USBメモリ、ハードディスクなど

  • ソフトウェア:開発ツール、セキュリティソフト、Office製品など

  • プリンターインク・トナー:印刷に必要な消耗品

交際費・接待費

クライアントや協力会社との関係構築にかかる費用です。

  • 会食費:クライアントとの食事代、飲み代

  • お中元・お歳暮:取引先への季節の挨拶品

  • 手土産代:打ち合わせ時の菓子折りなど

  • ゴルフ接待費:クライアントとのゴルフプレー代

広告宣伝費

自分や事業をPRするための費用です。

  • ホームページ制作費:サイト制作、リニューアル費用

  • 名刺印刷代:デザイン料、印刷費

  • Web広告費:Google広告、SNS広告などの出稿費用

  • セミナー・勉強会の参加費:技術力向上やネットワーキングのため

新聞図書費

業務に関連する情報収集や学習のための費用です。

  • 技術書籍:プログラミング、システム開発関連の書籍

  • 専門雑誌:IT関連の雑誌、業界誌の購読料

  • オンライン学習サービス:Udemy、Coursera、Progateなどの受講料

  • 電子書籍:Kindle、技術系電子書籍の購入費

旅費交通費

業務に関連する移動にかかる費用です。

  • 電車・バス代:クライアント訪問、打ち合わせの交通費

  • タクシー代:緊急時や終電後の移動費

  • 出張旅費:宿泊費、新幹線・飛行機代

  • 駐車場代:打ち合わせ時のコインパーキング代

その他の経費


  • 税理士・会計士報酬:確定申告や税務相談の費用

  • 振込手数料:事業用口座からの振込手数料

  • 事務所用品:デスク、椅子、書棚などの備品

  • 健康診断費用:業務上必要な健康管理費(一部制限あり)

経費にならないもの

以下のような支出は、事業との関連性が認められないため経費として計上できません。

個人的な支出


  • プライベートな食事代:家族との食事、個人的な外食費

  • 娯楽費:映画鑑賞、遊園地、個人的な旅行費

  • 家族の生活費:食費、日用品、被服費など

  • 個人的な医療費:治療費、薬代(医療費控除の対象)

税金・社会保険料


  • 所得税・住民税:個人の税金は経費にならない

  • 国民健康保険料:社会保険料控除の対象

  • 国民年金保険料:社会保険料控除の対象

  • 罰金・延滞税:法令違反に伴う支払い

資産性のあるもの


  • 10万円以上の備品:減価償却資産として処理(一括経費計上不可)

  • 投資・貯金:将来の資産形成に関わる支出

  • 生命保険料:生命保険料控除の対象

按分(家事按分)の計算方法

自宅兼事務所の場合、プライベートと事業の両方で使用するものは「按分」により事業使用分のみ経費計上します。

面積による按分

最も一般的な按分方法で、事業で使用している面積の割合で計算します。
囲みテキスト:按分率 = 事業使用面積 ÷ 自宅全体面積 × 100
計算例:
自宅面積:80㎡、事務所として使用:12㎡、月額家賃:15万円の場合
按分率:12㎡ ÷ 80㎡ × 100 = 15%
経費計上可能な家賃:15万円 × 15% = 2万2,500円

時間による按分

通信費や光熱費など、使用時間で按分する方法です。
囲みテキスト:按分率 = 事業使用時間 ÷ 全体使用時間 × 100
計算例:
1日の携帯電話使用時間:10時間、うち事業使用:6時間、月額料金:8,000円の場合
按分率:6時間 ÷ 10時間 × 100 = 60%
経費計上可能な通信費:8,000円 × 60% = 4,800円

按分のコツと注意点

合理的な根拠を持つ

  • 按分率は客観的で合理的な根拠に基づいて設定する

  • 図面や写真で事務所部分を明確にしておく

  • 業務日記や作業時間の記録を残す


一貫性を保つ

  • 一度設定した按分率は合理的な理由がない限り変更しない

  • 同種の費用は同じ按分率を使用する

  • 税務調査時に説明できるよう資料を保管する


按分率の目安

  • 家賃・光熱費:10%〜30%(面積按分が一般的)

  • 通信費:30%〜70%(業務使用頻度による)

  • 自動車関連費:20%〜50%(業務使用距離・日数による)


適切な按分により、合法的に経費を最大化し、効果的な節税を実現できます。記録の保管と合理的な根拠の説明ができるよう、日頃から丁寧な管理を心がけましょう。

フリーランスエンジニアが節税する際の注意点

節税対策は重要ですが、適切な方法で行わなければ、税務調査のリスクや将来的な不利益を招く可能性があります。ここでは、フリーランスエンジニアが節税を行う際に注意すべきポイントを詳しく解説します。

領収書の適切な管理

経費計上の根拠となる領収書やレシートは、税務調査時の重要な証拠書類です。

保管すべき書類


  • 領収書・レシート:購入時に必ず受け取り、紛失しないよう管理

  • クレジットカード明細:カード決済時の補完証拠

  • 振込明細書:銀行振込による支払いの証拠

  • 請求書・納品書:取引の詳細を示す書類

  • 契約書:継続的な取引や高額取引の根拠書類

保管期間と方法


  • 保管期間:青色申告の場合は7年間、白色申告の場合は5年間

  • 整理方法:月別・科目別に分類し、すぐに取り出せるよう整理

  • 電子保存:2022年1月から電子帳簿保存法改正により、スマホ撮影による保存も可能

  • バックアップ:データ消失に備えて複数箇所に保管

領収書がない場合の対処法


  • 出金伝票の作成:自販機や割り勘など領収書がもらえない場合

  • 通帳記録の活用:銀行振込や口座引き落としの記録

  • 家計簿・業務日記:支出の詳細を記録した補完資料

むやみに経費を計上しない

経費計上は節税効果がありますが、不適切な計上は税務調査のリスクを高めます。

適切な経費計上の原則


  • 事業関連性:業務に直接関連する支出のみを経費とする

  • 合理性:金額や内容が事業規模に見合っている

  • 証拠書類の保管:経費の根拠となる資料を確実に保管

  • 明確な区分:プライベートと事業の支出を明確に分ける

注意すべき経費項目


  • 交際費:相手先、目的、参加者を明記し、業務関連性を明確にする

  • 旅費交通費:出張の目的、期間、訪問先を記録する

  • 消耗品費:購入時期と使用目的の妥当性を検証する

  • 研修費:業務に直接関連する技術習得かどうかを確認する

経費率の目安と適正範囲

業界や事業形態により異なりますが、一般的な経費率の目安を把握しておくことで、適正な範囲での経費計上が可能です。

フリーランスエンジニアの経費率目安


  • 全体の経費率:売上の20%〜40%程度

  • 通信費:売上の1%〜3%程度

  • 交際費:売上の2%〜5%程度

  • 研修・図書費:売上の1%〜3%程度

  • 家事按分:家賃・光熱費合計で売上の3%〜8%程度

経費率が高い場合の注意点


  • 50%を超える場合:税務署から詳細な説明を求められる可能性が高い

  • 同業者との比較:類似業種の平均経費率を大幅に超えないよう注意

  • 前年との乖離:前年比で大幅に経費率が上昇した場合は根拠を明確にする

税務調査のリスクと対策

適切な節税であっても、税務調査の対象となる可能性があります。

税務調査の対象となりやすいケース


  • 所得の急激な変動:前年比で大幅な増減がある場合

  • 経費率の異常:同業種平均を大幅に上回る経費率

  • 現金取引の多用:現金支払いが異常に多い場合

  • 売上除外の疑い:取引先からの支払調書と申告内容の相違

  • 無申告・期限後申告:申告義務を怠った場合

税務調査への備え


  • 帳簿の整備:日々の取引を正確に記録し、整理して保管

  • 証拠書類の保管:領収書、契約書、取引記録を体系的に管理

  • 説明資料の準備:経費の内容や按分根拠を説明できる資料

  • 専門家との連携:税理士との契約により、調査時のサポート体制を確保

融資やローン審査への影響

過度な節税は、金融機関からの評価に悪影響を与える場合があります。

所得圧縮による影響


  • 住宅ローン審査:低所得により借入可能額が減少

  • 事業融資の審査:事業の収益性が低く評価される

  • クレジットカード審査:与信枠の縮小や審査落ちのリスク

  • 賃貸契約:保証会社の審査で不利になる可能性

バランスの取れた税務戦略


  • 将来の計画を考慮:住宅購入や事業拡大の予定がある場合は適度な所得を残す

  • 段階的な節税:一度に大幅な節税を行わず、段階的に実施

  • 所得証明の必要性:各種審査で必要な所得水準を事前に確認

使える控除の理解と活用

所得控除を適切に活用することで、合法的かつ確実な節税効果が得られます。

主要な所得控除の種類

基礎控除(48万円)

  • 合計所得金額が2,400万円以下の場合に適用

  • 全ての納税者が対象となる基本的な控除


青色申告特別控除(最大65万円)

  • 複式簿記による記帳と電子申告または電子帳簿保存が条件

  • 10万円・55万円・65万円の3段階


社会保険料控除(支払額全額)

  • 国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料が対象

  • 家族分の保険料も本人が支払えば控除対象


小規模企業共済等掛金控除(支払額全額)

  • 小規模企業共済、iDeCoの掛金が対象

  • 年間最大84万円(小規模企業共済)+ 81.6万円(iDeCo)


生命保険料控除(最大12万円)

  • 一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料

  • 各区分で最大4万円、合計最大12万円

控除漏れを防ぐコツ

年末の控除チェックリスト作成

  • 12月に控除証明書が届く項目をリストアップ

  • 保険会社、金融機関からの控除証明書を確実に保管

  • 家族の保険料支払い状況も確認


控除額の最大化

  • 年末調整がないため、確定申告で全ての控除を申請

  • 医療費控除(10万円超)、寄付金控除(ふるさと納税)も活用

  • 配偶者控除・扶養控除の適用可否を毎年確認


記録の整備

  • 控除関連の支払い記録を月別に整理

  • 控除証明書の紛失に備えて、再発行手続きを把握

  • 前年の申告書を参考に、漏れがないかダブルチェック


適切な節税は事業運営の重要な要素ですが、リスクとのバランスを考慮し、長期的な視点で取り組むことが大切です。不明な点は税理士などの専門家に相談し、確実で安全な税務処理を心がけましょう。
※参照元:国税庁|No.1100 所得控除のあらまし

まとめ

フリーランスエンジニアの節税対策5選と注意点について解説しました。
効果的な節税対策は以下の5つです。

  • 青色申告で最大65万円の特別控除を受ける

  • 事業関連の支出を適切に経費計上し、家事按分を活用する

  • iDeCoで年間最大81.6万円の所得控除を得る

  • 小規模企業共済で年間最大84万円の所得控除を活用する

  • ふるさと納税で返礼品を受け取りながら寄付金控除を受ける


節税時の注意点として、領収書の適切な管理、経費の不正計上を避けること、経費率を適正範囲(売上の20~40%程度)に保つこと、税務調査や融資審査への影響を考慮することが重要です。
適切な節税は事業運営の重要な要素ですが、長期的な視点でバランスを取ることが大切です。不明な点は税理士などの専門家に相談し、確実で安全な税務処理を心がけましょう。
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本記事の監修者

監修 猿田税理士事務所

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